希望という名の喫茶店

手作りの「希望」と云う看板

夏休み(筆者のではなく仲間の)に東北ツーリングに出掛けたことは既にアップした。
今日はその時に遭遇した東日本大震災の被災地で体験した事を報告したい。
ツーリングの目的は平泉と松島の観光であったが、もう一つ被災地の現状を見ておこうという目的があった。予定の目的地は石巻であったが、松島から東に向かう道が大渋滞で目的地を変更した。
途中のスタンドで仙台市若林区への道を教えて貰い、仙台東部道路の名取ICを降りて県道10で若林区に入った。途中の仙台東部道路から見る若林区は、枯れ草に覆われた荒れ地の様相で、畑が塩水に冠水し耕作不能になった様に見えた。
ところが、県道10で若林区に入って見ると、畑に見えた空き地に倒壊した塀や民家の基礎部分がある事に気付いて慄然とした。所々に残っている民家は、何かの具合で流失や倒壊を免れたもので、一階の壁が無かったり、隅の柱が流失して傾いたりと、まともに人が住める家は皆無といえる状況で、カメラを向けるのも憚られ、全員が只々無言で惨状を眺めた。
そろそろ帰ろうとバイクの向きを変えたところで、県道から一本外れた場所に赤い幟をはためかせている小さな民家が目に入り、入り口に手造りの看板で「希望」と書いてあった。不思議に思い確認してみると喫茶店とのことでお邪魔することにした。
案内されるまま玄関に入ると普通の民家であり、通された部屋は6畳ほどのリビングでテーブルが二つ並んだだけのお店で有る。壁に掛けられたホワイトボードに簡単なメニューがあり、全員がコーヒーを注文した。
隣の窓際のテーブルには先客のご夫婦が居て、少しずつ震災の話を教えてくれた。このご夫妻の自宅は直ぐ近所に在り「懐かしくて暇さえあればここに来て眺めています」「目の前の家ではご夫妻が無くなられた」「海岸に在るあの(指を指して)松の木を超えて津波が押し寄せた」などと、当日の様子を語ってくれた。
コーヒーには手造りと思しきロールケーキが付いて200円で、余りにもの安さに驚きの声を上げると、先客であったご夫妻が「ご近所の方が来るのでボランティアで店をやってくれている 本当に頭が下がります」と感謝されていた事が強く印象に残った。
オーナーの話によると「何とか内装を治して店にしたが4年間しかこの地区では住めないと云われています それでもお役にたてればと思って」の言葉に、全員が只々頷くだけであった。
店を出る時、玄関前まで出て来て「ご苦労様でした」とオーナーから掛けられた労いの言葉に、筆者は返す言葉がなかった。
それまでこの地区では写真を一枚も撮らなかったが、外に出て「希望」とい看板と、2本の「いらっしゃいませ」と云う幟の写真を一枚ずつ撮らせてもらった。

我々を呼び止めてくれた「いらっしゃいませ」の幟

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